2021/11/14

#10『声ラジ頻出用語』

私が好きな声ラジの要素のひとつに
“パーソナリティーが用語の解説をしない”
というのがあります。
 
例えば「プレスコ」。

――「このアニメは収録がプレスコで……」

という喋りはいいのですが、

――「このアニメは収録がプレスコっていう収録方法で、先に声を録ってから絵をつけて頂く収録方法なんですけど……」

って説明をされてしまうと興が冷めがち。
 
親切なのは結構なんですけどその数秒が料理のびっくり水のような感じになり
やはり無駄に思えてしまう。

リスナーも客とはいえ、アニメ業界に指先突っ込んでいるなら
業界のことを少しは学んでおくべきだし、
それに、パーソナリティーももう少し自分のとこのオタクを
信頼してもいいような気はします。
わからなきゃググればいいだけですし。

と、いうわけで今回はアニラジ声ラジでよく聞く業界用語を紹介します。

【収録方法について】

●アフレコ
アニメの収録においてはアフレコかプレスコかの2択。
アフレコは絵(といっても絵コンテや原画)を見ながらそれに合わせて声をアテるやり方。
最も一般的。

・ボールド
アフレコにおいて、収録画面に使う原画やコンテにキャラ名の文字テロップを出して
「これが出ている間にセリフを言ってください」
という合図。

↓こういう感じ

ククリ

●プレスコ
絵を作る前に声を収録し、声に合わせて絵を作る手法。

●抜き
主にコロナ禍前のことだが、
アニメやドラマCDの収録で、スケジュールの都合上どうしても来れない人が
別日・別時間帯に収録すること。「抜き録り」と呼ぶ。

また、技術上絶対にできない自分の声がダブるような掛け合いのセリフを
メインの収録後に居残りで追加分を収録することも抜き録りという。

●カフ
自分でマイクのオン・オフを切り替えられる箱型装置。正式名称:カフボックス。
上にするとオン、下にするとオフ。
ラジオ、ナレーション現場、イベントホールの影ナレするところにもある。

●ポップガード
どの現場にもある、マイク前に立ててある金魚すくいのポイ。
息が直接マイクに当たって吹くのを防止する効果がある。


オーディションについて2種類
●テープオーディション
録音した音源を音響会社に送り選考にかける方法。
2次まであるタイプのオーディションの1次はだいたいテープ。
カセットテープに録音してブツを送っていたからテープオーディションと呼ばれているが、
まさか今もカセットテープ使ってるとこはないだろう……。

ラジオでたまに聞く「事務所でテープ録ってて…」というのはこれのこと。

ちなみに、テープの冒頭は
「(事務所名)所属、○○○○です。◇◇◇◇役をやります。」
と言ってからセリフを言い始めることが多いが、
先方が声優の名前で声に釣られないように名前を伏せるオーダーがある場合もあったりする。

「81プロデュース所属」は言いづらいし
「大沢事務所所属」はもっと言いづらいなぁ…w

●スタジオオーディション
スタジオまで来てもらい、その場で演技して声をもらう方法。


知っていれば通ぶれる
【声優の技術系ワード】

・鼻濁音
文中にある語頭以外のガ行の文字の直前に薄く“ん”の音を含ませる発音方法。

例えば「山形の学校では……」という文章があったとすると、
「やまがた」のがは鼻濁音で「やまnがた」
「がっこう」のがは鼻濁音ではない。

・ブレス
息をするポイント。意味は音楽と同じ。

・ト書き
台本に書かれているセリフや場面の補足説明

・オフ台詞
アニメで、キャラの口パクが絵にないセリフのこと。
またはそういうキャラ。

【ライブ・イベントについて】
・イヤモニ
主にライブで、曲のインストを自分の耳に再生してもらう無線イヤホン。
オケを直接耳で聞こうとすると音ズレがひどいライブになるので
声優アーティストは必須アイテム。
ラジオでは「耳付ける」と言ったりもする。

ちなみに音が結構デカく、突発性難聴になった人もちらほら……。

・バミ
立ち位置をステージに貼るテープ。
スタッフはこのテープを貼ることを「バミる」と言う。

・打ち上げ
イベントが終わった後の飲み会。オタク大好き。みんな知ってるよね。

・打ち入り
イベントをやる前の飲み会。打ち上げの逆。

・中打ち
数日かけて行われるイベントなどの中日でやる飲み会。
たとえば2Daysのライブの1日目が終わった後にするのが中打ち。

・タクチケ
「タクシーチケット」の略。
都内某所から声優を帰す時に渡すことで料金を制作会社に後払いさせる仕組み。


 
と、結構挙げましたがそれでも何か大事なワードを忘れているような…。
今回はこのへんで!

2021/08/27

#9『番組メールフォームの存在による“指示待ちリスナー”大量発生』

メールフォーム
番組にメールを送ったことがある人なら
1度はどこかしらで使ったことがあると思いますが、
 
便利!って感じますか?
不便…って感じますか?
 
まぁ、ほとんどの人はそんな概念考えたことないと思います。

ですが、タイトルの通り私はメールフォームの存在に危惧を感じています。
“指示待ちリスナー”が出来上がるからです。

なぜこう考えてるのか、色んな視点から考えてみます。


●番組制作側からすると

番組側がお便りを募集するのにあたって、
まず2種類やり方があります。
 
メールアドレス なのか
メールフォーム なのか
 
会社の方針によって決まります。
もちろん両方もアリです。音泉は両方ですね。
 
メールアドレスの場合はさらに
自社ドメインなのか、フリーメールアドレスなのか、の分岐もあります。
文化放送ニッポン放送、音泉も自社ドメインですね。
自社ドメインを使うということは会社のサーバー容量を食らうので、
メールフォームを使う理由の1つにはなるかもしれません。

フリーメールアドレス(だいたいGmailだけど)でしたら無料ですね。
または会社で法人向けのGoogleサービスを使っていて一緒くたにしたい……、
という可能性もあったりするかもしれません。
 
メールフォームの場合は、よくあるのがGoogleフォームだったり
Questant(ざんなま♪はここでした)など。
 
スタッフにとって集計が楽だったり、無料だったり。
リスナーにとって入力が簡単(そうにアピールできる(ぼくはそんなことない))だったり。
そういったことが考えられます。
 
最近は色んな会社さんがニコ生など生配信番組を立ち上げるので
会社によって送り方がまちまちなんですが、ちょっとお願いしたい。
 
「メールフォームは(なるべく)やめて…!」
 
なぜなのか、次にリスナーとして考えます。


●投稿者目線からすると

 
もし、これから番組を企画してお便りを募集する、
って会社さんがいらっしゃいましたら、
 
「メアドよりメールフォームの方がリスナーさんも簡単に送れるよね」
 
と、手軽さでお考えなら、それは違います。
正確には
「どっちも変わらん(が、フォームではできないことが多すぎる)からメアドがいい」

が、私個人の見解です。

ではまず、メールフォームのメリットを考えてみます。
 

・宛先メールアドレスの入力不要

フォームですもん。
→でもメアドでもアドレス帳につけてません?

・件名の入力不要

だいたいプルダウンですよね。
→メーラーでもたかが長くて10文字そこらですよ?

・集計が楽なのかもしれない

これはあくまで想定ですが、
スタッフさん都合でこっちになったかもしれない。
別にそれならそれでいいんですけど。

・(番組によって)メアドを持ってない人も投稿できる

 手軽さは少し増します。
→が、イマドキそんな人おる?
 だいたい音泉メアド必須TokyoFMメアド必須、必須項目にしている会社も多いですし。
 
 
ざっと考えてはみましたが、メアドと比べたメールフォームのメリットが
「スタッフさんの集計が」楽、か
「宛先と件名を入力する手間が省ける」しか見つかりません。
完全スタッフさん都合ならいいんですが、
もしそうでないなら、ちょっと待って…?とはなりますね…。

その理由として、メアド(メーラー)のメリットを考えてみます。
 

・件名を自由に入力できる

プルダウン式になっててお手軽なのがいいとは限らないんですよ。
なんせ、変な発想をする輩もいるもんで……。
 
特にコーナーや番組グッズの提案といった、
“本来スタッフが裏で考えるような案”のメールが盲点になりがちなんですが。
 
そもそも投稿って、何を送ってもいいんですよ。マジでなんでも。
特に初心者にありがちな投稿の固定概念なんですが
 
「ふつおたと、コーナー一覧に挙がっていることしか送ない」
 
は、本当にありがちな間違いです。
そんなことは一切ないと声を大にして言いたい。

そこで問題なのが、件名に代わるメールフォームのプルダウン。
“ふつおた”とか“その他”とか、なんでもいいよ枠があるならいいんですが、
「(突発的に)〇〇のことを閃いた!!!!
………けどこれプルダウンのどれにも当てはまらないから送れないやつなんだ…。」
と思われてお蔵になるのが投稿における最悪のシナリオ。
 
例えばプルダウンが
 
1.2人へのおすすめの酒
2.2人に言ってほしいセリフ
3.2人に聞いてほしいお悩み相談

なんて番組が仮にあったとしましょう(マジで仮です。模倣じゃないです)。
ここで
「1人がメインで出演している作品にもう1人が2クール目の追加キャストで出演」
するアニメが放送されるとしましょう。
 
……どこに書きますか?
書けませんよね。
酒でもセリフでもお悩みでもない。
 
強引な手として、本文の1文目に 
【ふつおた】
と書いてどこかテキトーな件名選んで送る手段はありますが。
 
できないっすよね。私もこれだったらできないっす。
初心者ならなおのこと萎縮させられます。
 
これがあり得るメールフォームは大嫌いなのです。
(なのでデフォでふつおたとその他がある音泉は良心的ですね。)

「そんな企画書以外のこと送られても困るんだけど」
と、思うのなら勝手ですが、
そんな企画書以外のことだけれども番組のためを思って積極的に考え、
意欲的に投稿したいという人なんか投稿勢の中でもごく一部ですし、
そんな気持ちを潰すのは番組としても会社としても、ひいては業界としても
ロングスパンで考えたらマイナスのほうが大きいのではないでしょうか。

・添付ファイルが(絶対に)送れる

番組や会社によりけりなんですが、
メールフォームに添付ファイルがつけられないところがあったりします。
というかかなり多い…。
 
きれいな風景の写真送りたいのに、
オタクでバカやってる写真見てもらいたいのに、
写真があった方が伝わるのに、

つけられないまま送ったから採用されたけど不完全に、
または間違ったり曲がって伝わったり、
写真送れないならこのネタはボツ
と、送れずじまいになったりすることも考えられます。
 
これもひとえに、アドレスで募集すると画像でよりサーバーを圧迫することになったり、
メールフォームだとしても、テキストしか受け付けないサービスだったり、
上限容量的に写真が来られると困るから…。
このあたりかと思います。

・個人情報が書けない

以前でもしかしたら書いた話かもしれませんがご愛嬌を。
普段から、ふつおたでもコーナーでもなんでも住所など書いてるようにしているんですが
その理由が「個人情報から補足ができたり話が広がったりする」からです。
 
むいはずでいいお便りがありましたね。これが一番しっくりきた。
「(個人情報を書いてる理由が)例えば、水着を買った、というメールでも
 男が買ったのか女が買ったのか、
 10代20代が買ったのか40,50が買ったのかで受け答えが変わるから。」
 
これが全てを物語っています。
なので個人情報が書けないというのは十分マイナス要素のひとつになりえます。
 
 
 
と、ここまで単に自分が感じるメールフォームの不便な点を書き連ねてしまいましたが
私はあまりメールフォームをよく思ってはいません。
特にひとつめの自由に書けない縛りのようなのが一番大きいですね。
 
とはいえ、こちらを読んでくださった大多数の投稿者の方は
コーナーに縛られない、自由な発想や提案をして
番組を盛り上げていってほしい、という点を意識してほしいと思います。
 
 

数学
 

2021/08/22

『エーヴィヒたちに声をつけてあげたい!』を宣伝したい! その②

声優のお仕事で何が好きですか?
 
誰が好き、何の作品が好き、というのはあっても、
活動で考えたことはあまりないはず。
 
僕は俄然【朗読】が好きです。

私が少し放送部のNコンをかじってて
声優の苦労が多少なりとも共感できる、というのも若干ありますが、
声優の芝居を、一番美味しく味わえるのは朗読かな、というのが主な理由。
 
人間って生きてるとほんと、視覚にものすごく優先されます。
例えばアニメって、どんなに声や芝居がよくても絵と合わせた総合芸術なので
脳はアニメをどうしてもそう捉えてしまいます。
 
「声優はよかったけど作画が…。」という感想も然り、
逆に最近よくある芸能人がゲスト声優をやるパターンも然り。
 
なので、視覚情報ゼロ、ないしほとんど寄越してこない朗読こそが
一番声優の演技や声を味わえるという結論。
 
朗読劇なんかね、行くと推しはステージにいるわけなんですが、
目を開けると推しは見れるけど
声に没頭したいから目をつむりたい……。
これがなかなか難しいですね。
最近ASMRにハマりかけなのもそういうわけです。
 
 
そういうわけで前置きはここまでにして、
声優の朗読好きが興じて現在私は
「朗読フルボイス化クラウドファンディング」の企画を支援しています。
 
『Ewig』(エーヴィヒ)という作品で、
これに登場するメイン6キャラに声優をつけて
全編まるまる読んでもらおうという企画です。
 
↓こちらは花守ゆみりさんによる1シーン朗読。 
 


花守さんと作者の“Physics Point”は
劇場アニメ『ガラスの花と壊す世界』での主演-原案。
知るオタクぞ知る名タッグです。
その縁あって花守さんにはオファー確定だそうで。
 
もちろんこちらの朗読も聴きましたし、
アプリで全編読ませて頂きました。
 

容赦がない!!!!

 
ほんとーーーに容赦がない。
キャラにも、展開にも、設定にも。
 
((個人的に)こうなってほしくはないけど、PPならよもやこうするかなぁ…。)
が当たったり。
伏線も設定も綿密。
 
最後まで読んで「なるほどたしかに」なんだけどなんか喉の奥に痰が残り…。
謎は謎のまま終わらないんだけど謎で……。
むちゃくちゃ2章が読みたくなりました。(2章仕立てです)

これはフルボイスが聴きたくなります。
字を読めば読むほど文字が脳内に声を想起させてくるんですもの。
 
ラノベじゃ退屈な方、
次郎ラーメン並みに濃くてガツンとくる本を読みたい方、
世界観や概念が全然違うのでファンタジー好きな方、
 
ぜひ読んで頂きたい。
 
 
そしてあなたの脳がおのずと声を描いたら。
 
ぜひ買ってほしい。
 
期間は8/27(金)いっぱい。
どうぞよろしくお願い致します。
 
 
 
 
 
そんなわけで、日々推しの朗読案件が来いと願っているわけなんですが、
そういえば昨年の第1回緊急事態宣言のさなか、
悠木碧さん発案の「#せいゆうろうどくかい」ハッシュタグがあったのを思い出しました。
有志声優で青空文庫の作品を朗読した音声をアップし、おうち時間のお供にしてほしい、
という完全ボランティアなキャンペーン。
 


花守ゆみりさんのもありました!!!!!!!!!!!!!!(歓喜
 『燕と王子』 著:有島武郎
 
いや~、やはり朗読はいいものですよ。
ドレッシングなしにフレッシュな野菜を丸かじりしているような気分。
 
声が、音が、脳内に絵を描き、色を塗り。 創り、壊し。


どうか、花守さんが、エーヴィヒを描く画家になれますように。
 
 
 
 
 
数学