2022/06/27

#12『ネタバレになるので詳しくは書けなくなる人たち』

アニラジでよく聴くワード第12位くらいの話になります。

「ネタバレになるので詳しくは書けないのですが」。

もうね、怒りがふつふつと込み上げてきます。きっとこの世で1人だけ。
ラジオ業界の誰も疑問に思わないからこれがよく聴くワード第12位(当社比)なんですが。

これについて、話を広げてみたいと思います。

①なぜ書くのか


私は(たぶん)書いたことないのですが、
私なりに、なぜ書くのかを考察してみると簡単です。
他のリスナーへの配慮。
これに尽きます。
なんならメール本文にそれすら全て説明なさる、とてもご親切な御方もいらっしゃる。

まだ観てない人に本編の内容を聞かせてしまっては。
迷惑をおかけしてはいけない、そう思ってるからこそ、ごく当たり前のように書く
「ネタバレになるので詳しくは書けないのですが」
だと思います。


②どこがいけないのか


では、ここから持論を話すのですがひとつめ。

・なぜ他の人の心配をするの?

ラジオとテレビの違いを理解できてない人が多すぎるのですが、
ラジオは、パーソナリティと1対1のメディアです。
すると、

どうして?パーソナリティは俺ら大勢に向かって喋ってるじゃないか。

と言う人が(言う人しか)いるのですが、
1対多の気持ちで喋ってる人、大勢に向かって喋ってるように聴こえている人は
ラジオの特性を理解していないパーソナリティです。
そして、それができている声優さんはごくごく一部。

そこで話を戻します。
パーソナリティのトークが1対1なら、
私たちが書くラジオの投稿ももちろん1対1の会話。
つまり、【あなたはパーソナリティ(のみ)とお話会をしているのに
なぜ他のリスナーのことを気にしているのですか?】
という話であり、誰かの知らない人のためにわざわざ気を遣ってネタバレの心配なぞしなくていいのです。

そして、もうひとつ

・ラジオは共感のメディア

ラジオで、パーソナリティのお話を聞いて
「わかる〜!」
逆に
「は?」「それは草」
でもどちらでも、トークからあれこれ膨らんでいくのが発展というもの。

少し前の話をしますと、上田麗奈さんがひみつばこで

「お風呂に入ったら、栓を抜いて自分の裸体がだんだん露わになっていくのが好き」

などという(賛否はともかく)お話をされていましたが、
その流れが実況TLにとどまらず、次回収録でのワンテーマにもなるほどの共感や疑問のお便りが届きました。

それと同様、先行上映会の感想で
「あのキャラのここのシーンでの表情が可愛かった!!」
→「わかる!」「それな」「それは分かり手」「わかりすぎてわかり徹夜」

と、皆で盛り上がるツイートをしたいのに、
「ネタバレになるので詳しくは書けないのですが」
と言われたら俺らは何とツイートすればよいのでしょう。
コロナの実行再生産数は1を切って欲しいのに、先行上映会や舞台挨拶での感想でネタバレを控えさせてしまうとここだけ実行再生産数がキレイに0になってしまいます。

それでいいのでしょうか。
それでもなお、ネタバレがー、と言う方もいるから困り者。

そもそも論、イベントがあったらその感想メールがいつに読まれるのかは予見できるもの。その日だけ聞かなきゃいい話でしょうに。

ちなみに私であれば、ラジオへのお便りにはネタバレの遠慮はしないんですけど
Twitterには遠慮しますよ。
メディアのプッシュ型とプル型の話になるのですが。

そもそも論その②、ガチ勢ならイベントに行ってるので迷惑がかかる人がいない、すなわち自重しても自重損。
え、仕事で?遠方の開催で学生だから金がない?知らん知らんそこまで面倒見切れません。

そもそも論その③、ガチ勢でないなら?ガチ勢のためのラジオなのにガチ勢でないあなたがガチ勢の邪魔をするな、自重なさい。


③三手読みの観点から

最後に、中身は被ってしまいますが初回から提唱している『三手読み』の観点からも。

『ネタバレになるので詳しくは書けないのですが』
と言われたら、リスナーどう思うのでしょうか。
「親切だね〜」と、好意的に思う人、
僕みたいに「何遠慮してんだ」と、良くは思わない人、どちらが多いのでしょう。
調査してみてもよさそう…。

どちらにせよこの将棋の対局、ここで終わってしまいます。三手にもならないという。
「いや〜、私にはこの8八銀一択なんですけど、これを指してしまうとあなた負けちゃうから」
と、僕には聴こえます。どちらにせよモヤモヤしますね。


ネタバレを控えたところで誰の得にもなりません。
他のリスナーを心配する気持ちは理解できますが、
たまにはその気持ちをぶった切って、パーソナリティに遠慮のない思いをぶつけてみてください。



数学

2022/05/04

#11『《たてる》と《捨てる》』

「たてる」と「捨てる」


対になる言葉としては聞き馴染みがないと思いますのでご紹介。

この2つの用語は、本来声優さんやナレーター、アナウンサーなど
読む喋る世界で生きてる人にとっての用語(なはず)で、意味としては

・「たてる」は【目立たせる】
・「すてる」は【目立たせない】【流す】
箇所のことを意味します。


たとえばこんな例文

「4月26日、声優の小原好美さんが初の写真集を発売することが発表されました。」

というナレーション文が仮にあるとしましょう。
これを読む時、どこを目立たせて読むべきで、どこを軽く流して読むべきしょうか。

4月26日、声優の小原好美さんが初の写真集を発売することが発表されました。

私だったらこの太字+下線にしたところを少しゆっくりめに強調して(=たてて)読み、
薄くした文字は大して気持ちをこめずさらっと“捨て”て読みます。
人によっては【初の】も、たてる人はいそうですね。

これ、知らない人にとっちゃ
「なんで目立たせなくする必要がある!全部大事に決まってるじゃないか!」
のひと言ですが、こういう文章にはどれも必ず要る物と要らない物があるんです。
ニュースを読んでるアナウンサーの声を慎重に聞いていればなんとなくわかるはずです。こういうのはNHKがいいかな。

この、【重要】【重要でない】を見極めるのが
『たてると捨てる』であり、
皆さんの推してる声優さんも、台本を『どう』読むかお家で練習している中のひとつに
『たてる・捨てる』ないし、強調と抑圧も含まれている(はず)です。


●文章においての《たてる》と《捨てる》


ここまで、読みの観点からたてると捨てるの話をしてきましたが、これは書く分野、
メール投稿、文章にも活かすことができます。

すなわち、「絶対伝えたいセンテンス」と「別にどうでもいい文」を共存させるのです。

すると今度は
「どうでもいい文なんか書かなくていいじゃないか!そんなん消せばいいってツイートすんだろ!!」
と言われるんですが、そういう意味でなくて。

言い換えるなら『閑話休題』。
食事中に箸を置き水を飲むように、
1日3食の中のおやつを食べるように、
アニラジ30~40分間の中の円盤情報、


別になくてもいいけど、ないとちょっと物足りない、
そんな感じの1文があると緩急のついた文章になるのです。


題材の都合上どうしても文章の例は出しづらいのですが、
例えば質問の前のクスりとする1文、冗談めいた1文、
そういうのです。
そもそもの存在がさりげないものなので気付きにくいのですが、
巧い文章には地味にある、影の功労者的存在。

ちょっと上等テクですが、スパイス的なもんだと思ってください。



数学

2021/11/14

#10『声ラジ頻出用語』

私が好きな声ラジの要素のひとつに
“パーソナリティーが用語の解説をしない”
というのがあります。
 
例えば「プレスコ」。

――「このアニメは収録がプレスコで……」

という喋りはいいのですが、

――「このアニメは収録がプレスコっていう収録方法で、先に声を録ってから絵をつけて頂く収録方法なんですけど……」

って説明をされてしまうと興が冷めがち。
 
親切なのは結構なんですけどその数秒が料理のびっくり水のような感じになり
やはり無駄に思えてしまう。

リスナーも客とはいえ、アニメ業界に指先突っ込んでいるなら
業界のことを少しは学んでおくべきだし、
それに、パーソナリティーももう少し自分のとこのオタクを
信頼してもいいような気はします。
わからなきゃググればいいだけですし。

と、いうわけで今回はアニラジ声ラジでよく聞く業界用語を紹介します。

【収録方法について】

●アフレコ
アニメの収録においてはアフレコかプレスコかの2択。
アフレコは絵(といっても絵コンテや原画)を見ながらそれに合わせて声をアテるやり方。
最も一般的。

・ボールド
アフレコにおいて、収録画面に使う原画やコンテにキャラ名の文字テロップを出して
「これが出ている間にセリフを言ってください」
という合図。

↓こういう感じ

ククリ

●プレスコ
絵を作る前に声を収録し、声に合わせて絵を作る手法。

●抜き
主にコロナ禍前のことだが、
アニメやドラマCDの収録で、スケジュールの都合上どうしても来れない人が
別日・別時間帯に収録すること。「抜き録り」と呼ぶ。

また、技術上絶対にできない自分の声がダブるような掛け合いのセリフを
メインの収録後に居残りで追加分を収録することも抜き録りという。

●カフ
自分でマイクのオン・オフを切り替えられる箱型装置。正式名称:カフボックス。
上にするとオン、下にするとオフ。
ラジオ、ナレーション現場、イベントホールの影ナレするところにもある。

●ポップガード
どの現場にもある、マイク前に立ててある金魚すくいのポイ。
息が直接マイクに当たって吹くのを防止する効果がある。


オーディションについて2種類
●テープオーディション
録音した音源を音響会社に送り選考にかける方法。
2次まであるタイプのオーディションの1次はだいたいテープ。
カセットテープに録音してブツを送っていたからテープオーディションと呼ばれているが、
まさか今もカセットテープ使ってるとこはないだろう……。

ラジオでたまに聞く「事務所でテープ録ってて…」というのはこれのこと。

ちなみに、テープの冒頭は
「(事務所名)所属、○○○○です。◇◇◇◇役をやります。」
と言ってからセリフを言い始めることが多いが、
先方が声優の名前で声に釣られないように名前を伏せるオーダーがある場合もあったりする。

「81プロデュース所属」は言いづらいし
「大沢事務所所属」はもっと言いづらいなぁ…w

●スタジオオーディション
スタジオまで来てもらい、その場で演技して声をもらう方法。


知っていれば通ぶれる
【声優の技術系ワード】

・鼻濁音
文中にある語頭以外のガ行の文字の直前に薄く“ん”の音を含ませる発音方法。

例えば「山形の学校では……」という文章があったとすると、
「やまがた」のがは鼻濁音で「やまnがた」
「がっこう」のがは鼻濁音ではない。

・ブレス
息をするポイント。意味は音楽と同じ。

・ト書き
台本に書かれているセリフや場面の補足説明

・オフ台詞
アニメで、キャラの口パクが絵にないセリフのこと。
またはそういうキャラ。

【ライブ・イベントについて】
・イヤモニ
主にライブで、曲のインストを自分の耳に再生してもらう無線イヤホン。
オケを直接耳で聞こうとすると音ズレがひどいライブになるので
声優アーティストは必須アイテム。
ラジオでは「耳付ける」と言ったりもする。

ちなみに音が結構デカく、突発性難聴になった人もちらほら……。

・バミ
立ち位置をステージに貼るテープ。
スタッフはこのテープを貼ることを「バミる」と言う。

・打ち上げ
イベントが終わった後の飲み会。オタク大好き。みんな知ってるよね。

・打ち入り
イベントをやる前の飲み会。打ち上げの逆。

・中打ち
数日かけて行われるイベントなどの中日でやる飲み会。
たとえば2Daysのライブの1日目が終わった後にするのが中打ち。

・タクチケ
「タクシーチケット」の略。
都内某所から声優を帰す時に渡すことで料金を制作会社に後払いさせる仕組み。


 
と、結構挙げましたがそれでも何か大事なワードを忘れているような…。
今回はこのへんで!